こんにちは。院長の奥山です。

先日、膝蓋骨内方脱臼の手術を行った子が退院していきました。 膝蓋骨内方脱臼とは、後ろ足の膝にあるいわゆる膝の皿と呼ばれる膝蓋骨が大腿骨にある滑車と言われる溝の部分から内側に外れてしまうことを言います。

写真は左側が手術前のレントゲン写真で、右が手術後のレントゲン写真です。  どちらも右足の膝のレントゲンですが、どれが膝蓋骨かわかりますか?  赤丸で囲ってあるのが膝蓋骨で左の写真は内側に外れています。

右の写真は手術で、関節を包む関節包を縫い縮める方法、膝蓋骨と繋がっている内側に引っ張る筋肉を少し切り離す方法、膝蓋骨がはまる溝を深くする方法、膝蓋骨と繋がっている靭帯の付着部の骨をずらしてピンでとめる方法を行って、膝蓋骨と後ろ足が正常な動きが出来るようにしています。

膝蓋骨内方脱臼は外れ方によって4段階に分けられるのですが、この子は膝蓋骨が常に外れっぱなしのグレード3の状態で、よくびっこをひいているという子でした。

膝蓋骨脱臼では、症状のない子、たまにびっこ引く子、ずっと足を上げっぱなしの子など、症状はその子その子で様々ですが、若い子では骨の変形が起きてきたり、慢性の膝蓋骨脱臼では膝蓋骨が外れたりはまったりすることにより関節軟骨が障害されて関節炎がおきたり、そのまま高齢になってだんだん関節症になっていったり、患肢の前十字靭帯の断裂や逆足の股関節脱臼を起こしたりすることがあります。

膝蓋骨脱臼は触診で容易にわかります。たまに足をびっこひくことがあるようであれば一度ご相談下さい。

そのままにしておくと将来的に取り返しのつかない問題を起こしてくることがあります。

ですが手術をしてあげた方がいいのか、体重や運動管理、消炎剤で管理して行った方がいいのかの判断はなかなか難しい事が多いので、よく相談させてもらった上でどうしていくかを決めていくことがやはり大事なのかなと思っています。

院長 奥山