こんにちは。看護師の奥山美樹です。

今回は『肥満に対する食事管理』についての院内セミナーをしていただきました(^-^)

 肥満の原因は人の場合、95%が単なる食べ過ぎと言われているそうですが、わんちゃん・ねこちゃんも同じことが言えます。しかし、わんちゃん・ねこちゃんは自ら摂取量の管理はできません。つまり、わんちゃん・ねこちゃんの肥満の原因は飼い主である私達が食べ物を与えすぎているからという事になります。

 では、なぜ与えすぎてしまうのか? その主な原因は3つあります。1つ目は『ペットの行動や習性に対する誤解』です。ねこちゃんの場合は、飼い主さんにかまって欲しい時にご飯を要求する仕草をすることがあります。鳴いてご飯の要求をしてきても、実はご飯ではなく、かまって欲しいだけなのかもしれません。また、わんちゃんの場合は、“食いだめ”をする習性があります。わんちゃんの先祖は群れで生活していました。リーダー以外は他の仲間と競って、食べれる時に食べれるだけ食べるという生活をしていたので、規定量のご飯を食べ終わっても「もっと欲しい!」と要求することがあるのです。

 2つ目は『カロリー要求量を把握していない』ことです。運動量の差などで前後はありますが、1日のカロリー必要量の目安は体重10kgのわんちゃん600kcal、体重4kgのねこちゃんで210kcalだそうです。体重10kgのわんちゃんに6ピース入りのチーズ1ピースをあげると、ハンバーガー1個分食べたのと同じくらいのカロリー摂取になるそうです。わんちゃん・ねこちゃんは小さい動物だと認識することが重要です。

 3つ目は『避妊・去勢手術後の体質の変化』です。避妊・去勢手術を行うと太りやすい体質になります。手術を行うと発情に関する行動が減りエネルギー消費量が減るそうです。さらに生殖器から出るホルモンに食欲を抑制する作用があるのですが、それが無くなるので食欲が増してしまうとのことでした。手術前と後で、同じ量のご飯をあげていると太ってしまう可能性が高いので、食事の管理を気を付けなければなりません。

 肥満は様々な病気の原因にもなります。ひとつ例をあげると、心臓病などの循環器疾患があります。1kgの脂肪中の血管を全てつなげると、なんと1kmにもなるそうです! つまり、心臓がその分を頑張って血液を送り出さないといけなくなるので、負担がかかるのです。その他にも、肥満が及ぼす悪影響として糖尿病や関節障害、皮膚疾患や尿路結石、手術時のリスクが増えるなどいろいろあります。

 減量の方法としては『運動療法』と『食事療法』があります。では、カロリーを消費する為にどれくらい運動すれば良いと思いますか? 目安ですが、体重×歩いた距離=消費カロリーとなるそうです。体重5kgのわんちゃんが20kcal(ジャーキー約1本分)を消費するには4kmも歩かないといけませんΣ(゚Д゚)! 太っている子に運動だけで減量させようというのは難しくなってきます。

 ですので、効率よく減量するには、カロリー摂取量を減らす食事療法が必要になります。食事による減量で絶対にしてはいけないのは、絶食させることです。これは身体に悪影響を与えてしまいます。なので、今あげているご飯の量を減らすか、療法食による減量をお勧めします。今あげてるご飯の量を減らす場合は、減らしすぎると必要な栄養素が足りなくなる可能性があるので、減らしすぎには注意が必要です。栄養の事を考えると、減量用の療法食であれば、カロリーを減らしても必要な栄養は摂取できるように作られているので安心です。減量用の食事は当院でも取り扱いがあります。お試し用サンプルもありますので、お気軽にお声をかけてください。

肥満になってしまうと、標準体型の子に比べて平均寿命が約2年も短いというデータもあるそうです。ペットに健康で長生きしてもらえるように、肥満にならないように日頃から気を付けてあげましょう(*^-^*)

看護師:奥山美樹