こんにちは。動物看護師の安慶名です。

先日、血液検査についての院内セミナーが開催されました。

当院は、特にフィラリア予防シーズンに一緒に合わせて健診ベーシックとして、おおまかな全身状態がわかる血液検査をお勧めしています。

同じ項目であっても必ずしも同じ測定法や測定試薬を使用しているわけではないため、検査機関や院内機器、機器の種類ごとに基準値は異なります。

また、個体が健康である時の基準値である個体基準値というものがあります。

これは、定期的な健康診断などによって得られます。

例えば、PCV(HCT)という貧血の値がわかるもので、犬の基準値が37~55%となりますが、

毎年検査している子で、1年前60%、2年前58%、今回40%と結果が出た場合、基準値の範囲内であっても、個人的基準値から逸脱している値は、

異常を示している可能性があります。

その場合、当院でもレントゲン検査やエコー検査など追加の検査を行い、病気の早期発見につながることもあります。

時々、何歳から血液検査とか健康診断とかした方がいいですかと質問を受けることがあるのですが、そのことを考えると1歳とか早い段階から血液検査を

行なってもいいのかなと思いました。

また特に、犬猫の6歳以上は、人間に例えると40歳以上となります。だいたいその頃くらいからは、毎年の血液検査を当院ではお勧めしています。

通常の健診ベーシックに合わせ、高齢になってからなりやすいと考えられる病気の追加検査を行う事も出来ます。

代表的なものとしてSDMA(対称性ジメチルアルギニン)があります。

通常BUN(尿素窒素)やCRE(クレアチニン)IP(リン)で腎機能を評価するのですが、これらは、腎機能が75%低下した時点でしか異常が見られませんが、

SDMAは、早い場合は腎機能が25%低下した時点で高値を示すことがあり、進行性の腎機能低下の早期指標となります。

その他に年齢に関係なく、心疾患の早期発見につながるNT-proBNPという検査も行うこともできます。

proBNPが上昇する疾患として、犬の場合、僧帽弁疾患、拡張型心筋症、先天性心疾患の一部、猫は、肥大型心筋症、その他の心筋症があります。

特に猫で行うことが多い検査ですが、心疾患の症状が犬に比較して分かりづらいからです。

猫では、犬に比べ、心臓の雑音が聴取しづらく、心臓以外の原因での雑音が聴取されることもあります。

例えば、成長期の猫の無害性雑音、貧血などの全身性疾患による機能性雑音、ストレスによる誘発、甲状腺機能亢進症などがあります。

そのため、心肥大の認められる無症状の猫において、有用な検査となりえます。

常に行ってる血液検査であっても、改めて色々勉強する事が出来ました。

血液検査、健康診断のことなど、飼い主様のニーズに合わせて検査を勧めていくことができたらと思いました。

何か、検査について疑問などがあれば、お気軽にお問合せ頂ければと思います。

動物看護師 安慶名

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