こんにちは。院長の奥山です。

今月はわんちゃんの歯石除去、抜歯などの歯科処置が4件あり、来院の際に歯周病について出来るだけお話するようにしているからか、飼い主様の歯周病への意識が高まっているからなのか、歯科処置を行う機会が増えて来ました。

ですので、病気については、久々の投稿になるのですが、今回は当院での歯周病治療について少し紹介したいと思います。

まず歯周病ですが、わんちゃんでは3歳で80%以上が軽度な歯周病はあると言われており、非常に一般的にみられる病気です。そして歯周病は単に歯石がつくだけでなく、歯肉や歯を支えている歯槽骨の感染症であり、口臭や痛みの原因になるだけではなく、進行すると、皮下に膿瘍を作ったり、顎の骨を溶かして骨折をする事もあります。また、肺炎や鼻炎の原因になったり、菌や毒素が血流に乗って全身にまわり、心臓、腎臓、肝臓などの臓器にも影響を及ぼすことがわかっています。

健康的に長生きするためには、歯周病の予防や治療は非常に大事だと思っています。

当院では、歯周病を治療し、さらに進行させないために、歯石の除去、歯周ポケット内の清掃(キュレッタージ、ルートプレーニング)、歯の表面の研磨(ポリッシング)、必要に応じて抗生剤での治療を行っています。

当院で使っている道具を紹介させていただきます。

  

最初は、この超音波スケーラーという道具で歯石を除去していきます。

次にこのキュレッターという道具で、キュレッタージとルートプレーニングといって、歯周ポケット内の歯石を取ったり、不良な歯や歯肉の組織を除去します。(ちなににこの処置は無麻酔ではできません。)

最後にこのハンドピースで、歯の表面を研磨(ポリッシング)を行い、歯面の細かい歯石を除去して、表面を滑らかにする事により、次の歯石をつきにくくします。

中等度以上の歯周病では、処置前後1〜2週間くらい抗生剤を飲んで頂き歯周病を治療していきます。また重度に歯周病が進行している歯は、歯石を除去しても進行を抑えられず、残っていても痛いだけの歯になりますので、抜歯が治療となります。

当院で最近行ったわんちゃんの写真を紹介したいと思います。

歯科処置前

歯科処置後

もう一例

歯科処置前

歯科処置後

見た目をきれいにするだけでなく、歯周病の治療として行っていく場合、全身麻酔を行わないと適切な処置はできません。高齢になってくると全身麻酔をかけるのが心配という場合もありますが、お家でのデンタルケアだけでは、進行を抑えられない場合、歯周病がその後わんちゃんの身体に及ぼす影響を考えると、全身麻酔をかけてでも、行ってあげた方がメリットが多いと考えています。

ご自宅でのデンタルケアは、こういった処置を同じくらい大事になります。処置を行ったあとデンタルケアで再度歯周病進行させないようにしていただく事、また小さい頃からデンタルケアを行い歯周病にならないようにしていけるといいと思います。

院長 奥山