こんにちは。看護師の奥山美樹です。

今回は、『糖尿病に対する食事管理』と『関節疾患の食事管理』についての院内セミナーをしていただきました。

 

まず『糖尿病に対する食事管理』についてですが、糖尿病とは血糖値を下げるインスリンの分泌障害により慢性の高血糖症になっている状態のことを言います。インスリンの分泌障害には、インスリンを作ることができない1型糖尿病と、インスリンを作ることはできるが量が足りない・効きにくいなどインスリンが作用しない2型糖尿病に分けれます。

犬の糖尿病では約50%が1型と言われており、特に避妊手術をしていないメス犬に多いそうです。これはホルモンの影響を受けるからとの事でした。猫の糖尿病では80~95%が2型糖尿病と言われており、特に去勢手術をしたオス猫に多いそうです。2型糖尿病の原因は肥満・ストレス・慢性膵炎が多いそうです。去勢したオス猫に多い理由としては去勢手術を行うと太りやすくなる傾向があるため、肥満が原因のことが多いそうです。猫は肥満になると、正常体重の猫の約4倍も糖尿病になりやすいというデータがあるので、肥満にならないように注意してあげましょう!

糖尿病の食事管理は、食後の血糖値の上昇を緩やかにする高タンパク質・低炭水化物の処方食がお勧めです。とはいえ、糖尿病は予防できる病気でもあります。ワンちゃんでは出産をする予定がなければ避妊手術をすること、ワンちゃんにも言えますが、ネコちゃんは特に肥満に注意してあげることが大事とのことでした。

 

続いて『関節疾患の食事管理』についてですが、発育性関節疾患と変形性関節疾患について教えていただきました。発育性関節疾患は成長期に必要な栄養が欠乏していたり、過剰になった場合に起こる可能性があるそうです。成長期に骨の成長のためにと、カルシウムのサプリメントをあげる事があるそうですが、これも過剰になると骨の変形が起こるそうです。発育性関節疾患は成長期にジュニア用の食事を適正量与えていれば、防ぐことができるとの事でした。

変形性関節疾患は症状として、歩き方がおかしい・関節部分を繰り返し舐める・運動前後の動きがぎこちない・食欲低下・性格が変わったようにみえる…などがあります。ネコちゃんが高齢になると爪が太くなってくるのは、関節の痛みにより爪とぎをしなくなることで起こるそうです。12歳以上のネコちゃんの約90%の関節炎だというデータもあるそうです。

変形性関節疾患の痛みは、骨と骨の間の軟骨がすり減り、骨同士が擦れあうことで炎症が起き痛みが出ます。痛みがあると上記のような症状が出て、生活の質が悪くなってしまいます。そこで治療として消炎剤の薬を使用しますが、関節疾患用の処方食を与えることもお勧めです。関節疾患用の処方食には炎症(痛み)の軽減に役立つ栄養成分が含まれているからです。処方食を与えることで消炎剤の薬の量を最小限にすることが目標になります。また、関節炎の悪化因子として肥満があります。ネコちゃんでは肥満になると関節炎のリスクが5倍になるそうです。肥満の場合は適正体重にしてあげることが重要になります。

今回のセミナーでは糖尿病も変形性関節疾患も肥満が関わっていました。肥満は防ぐ事ができます。病気になってからではなく、普段から肥満にならないように気を付けてあげる事が大切なんだと改めて思いました。

今回のセミナーでペットフードのセミナーは終了になります。今まで学んだことを活かして、皆さんにアドバイスできればと思いますので、気になることがありましたら是非ご相談ください(*^-^*)

看護師:奥山美樹