こんにちは。動物看護師の安慶名です。

今回は、犬猫の寄生虫対策についての院内セミナーをして頂きました。

まず、フィラリア予防についてですが、フィラリアは、蚊が発生して1ヵ月後から蚊が見られなくなって1ヵ月後まで毎月予防薬を投与します。当院では、5月末から11月末までの予防を推奨しております。

フィラリア症は、感染した犬の血を吸った蚊が他の子を刺して、皮膚内にフィラリアの幼虫が移行して、成長しながら肺動脈に到達します。

フィラリアが多数寄生することにより、循環障害が起きたり、咳や呼吸困難などの様々な症状を発症します。放置すると死に至ることもあります。

フィラリア症予防の普及によって感染率は低下していますが、1頭でも感染犬が存在して、蚊が存在する限り根絶には至りません。

そのため、フィラリアの定期駆虫は重要となってきます。

またあまり知られていませんが、猫にもフィラリア症はあります。猫の場合、犬と比べて寄生虫体数が少ないため発見が難しいのですが、フィラリア症を発症すると咳や呼吸困難を起こしたり、肺血管内で生存した成虫が死滅したことによる炎症や血栓塞栓症によって突然死をおこすことがあります。そのため、猫もフィラリア症予防が必要となってきます。

次にノミについてです。動物の体に5匹ノミがいたら、周囲の環境には95匹存在すると言われています。ノミは寄生後12~48時間で産卵を開始します。ノミの卵はとてもツルツルしているので、すぐに床へ落ちて、2~12日後に孵化して、また犬や猫に寄生します。なので、家の中で見つかった場合、駆虫薬を塗布するだけでなく、家の中もしっかりと掃除していくことが重要となってきます。

マダニは、宿主(犬や猫など)から吸血しなければ生存できません。そして、オスがいなくても産卵することができます。マダニは、宿主へ取りついた後、4時間くらい吸血しやすい場所、皮膚のうすい所や耳に移動します。そのため、散歩から帰ってきてダニを見つけたら、すぐに振り払いましょう。

マダニが媒介することによって発症するSFTS(重症熱性血小板減少症候群)はご存知でしょうか?近年、人間にも感染が報告されて話題になったと思います。

犬が散歩に行かなくても、猫が完全に室内飼いであっても、飼い主様が山菜採りで幼ダニを付けて逆にペット達に寄生することもありますし、マダニが媒介してSFTS(重症熱性血小板減少症群)という人獣共通感染症を起こすこともあるので、マダニの予防も重要です。

だいぶ涼しくなってきましたが、気温が温かいと、12月くらいまで寄生虫の予防をした方がいい場合もあります。当院では、寄生虫に合わせた駆虫薬やまとめて駆虫できるお薬も置いていますので、お気軽にご相談頂ければと思います。

看護師:安慶名