こんにちは。看護師の奥山美樹です(*^-^*)

今回は『消化器疾患に対する食事管理』についてのセミナーをしていただきました。内容は下痢の症状がある時に、どのような療法食を与えればよいかという話でした。

消化器を大きく分けると、胃と小腸と大腸に分けられます。消化器の役割は食物の消化・吸収だけではなく、免疫バリアという役割もあります。消化管には外部からいろいろな物が入ってきます。消化吸収が正常に機能することで、正常な免疫機能を果たし生体防御をつかさどっているのです。消化管が正常に働くためには十分な栄養が必要となります。消化管は血液によって運ばれてくる栄養だけでは不十分なので、小腸と大腸では食物から必要な栄養を得ています。消化管のためには食事を摂るということがとても重要で、2日間食物が入ってこないと腸管及び気道系の免疫機能が半分に低下してしまうとのことでした。ご飯を食べていないときは、早めに病院に連れて来てくることをおすすめします。

下痢をしているときの療方食についてですが、まず小腸性下痢と大腸性下痢に分けて考えます。小腸性下痢か、大腸性下痢かは便の回数や量、見た目の色や状態などで判断するので、下痢をしているときは便の状態やペットの様子をよく観察してあげてください。病院に来院されるときには便を一緒に持ってきてもらえると、便の状態が確認できるのと検査もできるので診察にとても役立ちます。持ってくるのが難しい場合は携帯電話などで写真を撮っておく、という方法もあります。

わんちゃんの小腸性下痢のときは、高消化性で低脂肪な療法食にして、脂肪による腸への負担を減らす方法と、高消化性で高栄養な療法食にして、食べる量を減らして腸への負担を減らす方法があります。その子の状態や症状、年齢などによってどちらが良いかを判断します。大腸性下痢のときは高繊維の療法食にして、腸の動きを整えてあげると良いとのことでした。その他にも小腸・大腸性下痢のときに行う対症療法に反応せず、下痢の症状が慢性的に続く慢性腸症という病気があります。この疑いがあるときは低アレルギーの食事や抗菌薬の投与、ステロイド剤の投与など状態をみながら組み合わせて治療します。

ねこちゃんの下痢のときは、食べる量を減らして腸の負担を減らす高消化性・高カロリーの療法食が良く、慢性腸症の疑いがあるときは低アレルギー食を与えると良いそうです。また、ねこちゃんで気を付けたいのが便秘です。便秘のときは可溶性繊維といって、保水力のある繊維が含まれている療法食がよいのですが、ねこちゃんの便秘は慢性腎臓病を患っているときにもなることがあります。そのときは腎臓病の療養食の方が良いとのことでした。

今回のセミナーでは、消化器用の療法食は状態・症状によっていろいろな使い分があり、適切なものを選んであげることが大事だと教えていただきました。自己判断で療法食を決めないで、必ず病院にご相談下さい。また、その子の状態を把握するには、飼い主様からの情報が重要です。お家の子が下痢をしていて来院されるときは、便を持ってくることと、状態などを私達に詳しく教えてください(^-^)

看護師:奥山美樹