こんにちは。看護師の奥山美樹です(*^-^*)

今回は『慢性腎臓病に対する食事管理』についてのセミナーをしていただきました。

腎臓の機能として有名なのは「尿を作る」ことだと思います。腎臓は血液をろ過して、血液中のいろいろなものから、老廃物だけを選んで尿として排泄します。体液の恒常性を維持する為に、体の水分や電解質等の調整をしています。その他にも大切な役割があり、赤血球を作る司令塔であったり、血圧の調整、骨の発育に必要なビタミンDを活性化させたりしています。

腎臓が1日にどれくらい血液をろ過しているかご存知ですか? 体重10kgのビーグル犬の場合だと、約53ℓもの血液をろ過し0.2~0.25ℓの尿を排泄しているそうです。腎臓は毎日、ハードに働いています。その為、腎臓はエネルギーが必要な臓器なのです。

腎臓が悪い状態が2ヶ月以上続くと『慢性腎不全』と言います。慢性腎不全は高齢の犬・猫ともに発症することが多い病気です。多飲・多尿・嘔吐・食欲不振などの症状が現れる頃、血液検査で異常が出る頃には、すでに腎臓の7割が障害を受けているそうです。腎臓の機能は壊れてしまうと治ることはないので、早期発見する事が重要とのことでした。

慢性腎不全は治る病気ではありません。治療としては、病気の進行を遅らせる保存療法と症状を軽減する対症療法を行います。これらには、食事療法・内科療法・輸液療法などがありますが、食事療法について話していきます。

慢性腎不全の食事療法のポイントは、「食事中のリンを制限すること」「食事中のタンパク質を制限すること」が1番大事とのことでした。食事療法は、保存療法にも対症療法にもなります。また、腎臓はエネルギーを必要とするので充分なカロリーを摂取しなければなりません。「ちゃんと食べること」も重要なのです。

慢性腎不全の時は腎臓用の療法食をお勧めします。腎臓病の療法食はリンやタンパク質が制限されています。さらに腎臓の働きを助けてくれるEPA・DHAや、慢性腎不全の進行を遅らせる抗酸化物質が含まれています。その他にも、通常一定に保たれている血液のpHが腎機能の低下により酸性に傾いてしまうのを補正したり、慢性腎不全の時には複合的な原因から便秘になることがあるのですが、便秘になりにくくなるよう作られていたりなど、保存療法と対症療法のどちらに対しても考えられています。

腎臓がかなり悪くなってからでは、すでに食欲が落ちていて療法食への切り替えが難しいことが多いそうです。療法食を始めるタイミングとしては、慢性腎不全を早期発見して、食欲のあるうちに腎臓用の療法食に切り替えることができると良いとのことでした。慢性腎不全と診断されてから、療方食をあげた子とそうでない子を比べると、療方食を食べている子の方が生存期間が2.5倍も長いというデータがあるそうです。腎臓用の療法食も風味が違うものや、ドライフードやウェットフードなどいろいろあるので、いくつか試すのをお勧めします。数種類をローテーションであげることで食べ飽きるのを防ぐ方法もあります。

今回のセミナーでは慢性腎不全は早期発見する事がかなり重要だということを教えていただきました。わんちゃん・ねこちゃんが高齢になってきたら、特に症状がなくても腎臓に異常が出てきていないか調べてあげることが必要なんだなと勉強になりました。

看護師:奥山美樹