こんにちは。看護師の奥山美樹です。ペットフードの知識を学ぼう!という事でフードのセミナーを続けて行うことにしました(^^) 『今回は心臓病に対する食事の管理について』です。

 心臓病を患っているワンちゃんはどれくらいいると思いますか? 日本国内の犬の10~15%、なかでも10歳以上の犬の30%以上が心臓病を患っていて、犬の死因の第2位ということでした。

心臓病といっても種類がありますが、一番多いのは僧帽弁閉鎖不全症です。心臓の中で血液の逆流を防いでいる弁がうまく機能しなくなることで起こる病気で、これは遺伝・高齢・フィラリア症・細菌感染などが原因です。歯肉炎から発展するケースもあるそうです。僧帽弁閉鎖不全症は小型犬に多い病気なので、日本では特に多い病気です。それから、肥満のワンちゃんも要注意ですよ。

さて、心臓病とフードについてですが、心臓病の子がみんな心臓病用の療法食を食べているか?と言われると、残念ながら食べていない子の方が多いです。いろいろ理由はあると思いますが、例えば単純に食べない・シニア用のフードで十分だと思う・お薬にコストがかかってしまう・・・というのが代表的な意見だそうです。

『食べない』ということについては、心臓のお薬で血圧が下がると食欲が落ちます。そんな時に慣れていないフードをあげても食べてはくれません。

『シニア用のフード』はもちろん良い物もありますが、ただカロリーが抑えてあるだけの物だったりすると良くないんです。食欲不振とカロリー不足があわさると筋肉が落ちていき栄養不良になります。通常の体重減少であれば筋肉の分解から脂肪の分解に変わるのですが、心臓病の子は継続的に筋肉が分解されてしまうので、どんどん栄養不良になっていってしまいます。そこで、心臓病の子に摂って欲しいのがEPA/DHAです。この成分が筋肉を分解を継続してしまう物質を減らしてくれるので、体重減少を避けることができます。なので、これがしっかり入っているフードを選ぶことが重要です。

そして『フードのコスト』ですが、まずフードを始めるタイミングが重要とのことでした。心臓病は最初は症状はほとんどありません。動物病院にワクチンなどで行き、聴診をしたら雑音が聞こえると言われ驚いたりするくらいです。フードを始めるタイミングは、まさにここ!との事でした。 具合が悪くなってから始めるより、症状が特に無くてお薬を飲ませるほどではない頃からフードを良い物に変えてあげると症状が出てくるのを先に延ばすことができるそうです。

「お薬をあげる程ではないけれど、ちょっと心臓に雑音が聞こえるよ」と獣医師に言われたら、まずはフードを良い物に変更して、少しでも症状が出るのを延ばし、楽しく老後を過ごさせてあげましょう。ということでした。 当院にも心臓病用の療法食はもちろん、心臓病などに配慮した総合栄養食があります。もし、フードを始めてみようかな?など興味がありましたらサンプルも用意しておりますので、お気軽に相談してください!

看護師:奥山 美樹