こんにちは。院長の奥山です。

当院が開院して2週間が経ちました。まだ慣れない事務作業などに追われていたりして、忙しく過ごさせてもらっています。ありがたい事に来院もポツポツと増え始めてきて、開院した手応えをつかみ始めてきています。

当院では猫にやさしい医療を心がけていたり、私自身が目の病気に詳しいということもあり、猫ちゃんの来院や目のついての相談が多めなのかなと思っています。

 上の写真は眼圧計と、目に光を当てて、さらにレンズで拡大して細かく観察するためのスリットランプです。

当院ではこういった機材で目の状態をチェックしています。

今日も何となく目を細める事を繰り返すという事で来院があったのですが、マイボーム腺の油が出にくくなっている事により、目が乾いて、ショボショボしているような感じの子でした。

これはマイボーム腺機能不全という状態なのですが、これについてちょっと紹介させて頂こうと思います。 マイボーム腺機能不全とは、比較的最近わかってきた病気の概念で、英語でマイボームグランドディスファンクションといい、略してMGDなどと呼んでいます。

飼い主様はちょっとうちの子は目脂が多いとか、たまに目を細める事があると話していて、そんなに気にしていない事も多いのですが、実は鼻の短いわんちゃんや、小型犬のわんちゃんでは、けっこうこの病態の子がいます。

常に少し目脂が多い、目を細める、まぶたが腫れぼったい、目が充血しがちなどあれば、もしかしたらこのMGDになっているのかもしれません。

そもそもマイボーム腺とは何かというと、まぶたにある腺で、油成分を出し目の表面をコーティングして、水分が蒸発するのを防ぐ働きをしているものです。

この腺はまばたきした時におされて油を出しているので、鼻の短いわんちゃんや小型犬のわんちゃんでは、目が大きいためまばたきが上手く出来ないことがあり、マイボーム腺に油が詰まって、炎症を起こしていることがあります。

   上の写真は詰まったマイボーム腺の出口を矢印で指しています。

白くなっているのが詰まって固まっている油です。

治療として内服薬や点眼薬を使うのですが、まぶたが上手く閉じれないことがもともとの原因なので、薬と合わせて手でまぶたを開け閉めする運動を一日数回、一回一分間で行うことで、改善できることがあります。

人で温かいタオルを目に当てるのは実はこのマイボーム腺の油が出るのを良くするためでもあり、わんちゃんでも嫌がらなければ有効です。

うちの子も、もしかしたらと思う事があれば、ご相談頂ければ改善させるためのアドバイスが出来るかもしれません。 初めての病気の紹介は私の得意分野という事もあって、細かい話が多くなってしまいましたが、今後、地域の皆様に医院便りやホームページを通してペットの健康に役立つ情報発信を積極的に行って参りたいと思っています。宜しくお願い致します。

院長 奥山